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ミシン糸と布素材での縫い上がりの違いについて

こんにちは!修理担当の石黒です。
今回の記事は修理関連ではないのでソーイングのプロへお願いしました。
記事監修したソーイングアドバイザーの後藤です。
前回、③ミシン糸について(ミシン糸の品質編)の続きとしてミシン糸と布素材での縫い上がりの違いについて記事にします。 
是非、参考にしてください。

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③ミシン糸について(ミシン糸の品質編)」を説明します。

お客様からの相談で「縫い目が左右におどる」「縫い目が綺麗にならない」「ご自身が予想した縫い上がり」等など相談があります。
縫い目の美しさはミシンの性能と、ミシン糸の種類、布地の種類によっても変化します。
そこで!今回は3種類のミシン糸を使用して、様々な素材を縫い比べどのような変化がみられるのか検証してみました。
縫い上がりはミシン糸と使用する布素材によっても大きな違いを覧いただけると思います!

今回使用したミシン糸はこちらです!
使用糸①:無メーカーの安価ミシン糸 
使用糸②:フジックス社製「シャッペスパンミシン糸」普通地用60番
使用糸③:フジックス社製「ファインミシン糸」普通地用50番

…シャッペスパンミシン糸…
綿の風合いを持つ上質なポリエステル製の糸。
一般的なホームソーイングに幅広く使われています。
直線ステッチだけではなく、飾り縫いやボタンホールステッチなども縫い目がふっくらとし、ナチュラルな仕上がりになるため人気が高いです。
※シャッペスパンミシン糸の表記でも品質的に違いがある場合もあります。
ブランド糸メーカーフジックス製シャッペスパン60番をお勧めします。

…ファインミシン糸…
絹の風合いを持つ高品質なポリエステル製の糸。
サテンやローンなど縫うのが難しい繊細な素材に適したミシン糸です。
シルク形状のつるつるした仕上がりの為、直線は美しいのですが飾り縫いやボタンホールステッチは貧相に仕上がり不向きです。

試し縫いで使用したミシンは一般的な水平釜仕様の家庭用ミシンを使いました。


試し縫い【1】綿ブロード地
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織りがこまかく、糸の質がはっきり出やすいのでできるだけ毛羽立ちの少ない上質な糸を使用すると美しく縫えます。

試し縫い【2】オックス地
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入園シーズンにはキャラクタープリントされたオックス生地が手芸屋さんにずらりと並ぶ、大変人気の素材です。
写真を見ていただくとわかるように、オックス生地は「横地縫い」(下側)の縫い目が安定しない特長があります。
糸は生地と同系色を選び、なるべく目立たせないように縫うのがポイントです。
フジックスのシャッペスパン糸は色の種類も大変豊富なので手芸屋さんで布を選びつつ、その布にあった色の糸を選ぶことをおすすめします。


試し縫い【3】プリントコットン地
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プリントコットンは本当にたくさんの種類があります。
生地を見るポイントは「柄」の好みだと思いますが、薄いものからちょっとハリのあるものまで様々です。
今回はごく標準的なプリントコットンを縫ってみました。
やはりこちらも縦地は縫い目が引き締まり、横地(下側)は安定せず縫い目が「ミの字」になりやすいです。
②が一番生地になじんでいるように思います。
カラフルな糸を使用してステッチを楽しんでも良いのではないでしょうか。


試し縫い【3】ガーゼ
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マスクや肌着などに使用することが多いガーゼ素材。
今回はけっこうきれいに縫えましたが、ガーゼは織りが粗くてゆるいので、あまり縫い目がきれいに出ない場合があります。
なるべく布と同系色の糸を使用すると良いでしょう。

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こちらはシングルガーゼです。
ガーゼは生地がふっくらして、織りがゆるいので①の糸だと糸のボコボコ感が目立ちます。
②の糸が最適かと思います。


試し縫い【4】ツイル地
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綾織りといって、斜めに織りが入っている素材です。
厚みが増しても柔らかく、カラーバリエーションが豊富でジャケットやパンツなどの衣類からバッグ・小物まで様々なアイテムに使用できます。
手芸屋さんではカラーや厚みによってカテゴリー分けされているので、感触などでお好みのものを見つけてみてください。

お好みにもよりますが縫い上がりは②が一番安定する感じがします。

試し縫い【5】サテン地
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なめらかで光沢があり、ドレープが美しく出るため衣装やドレスに多く使われる生地です。
取り扱いは難しいのでミシンになれてから縫ってみてください。
サテンの場合にはあきらかに③のミシン糸が適していることがわかります。
ステッチを効かせた縫い方をするのではなく、糸を目立たせないように縫うのがおすすめです。
サテンの持つ繊細さを壊さない、見合った糸を使用する必要があります。


試し縫い【6】オーガンジー
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ハリがあり、家庭用ミシンでも比較的縫いやすいナイロンオーガンジーで試してみました。

縫い目を見るとあきらかに③の糸が適していることがわかります。
作品が仕上がった時の全体的な印象は、使用する糸によっても大きく異なってきます。


試し縫い【7】キャンバス地/帆布(ハンプ)
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大変頑丈な平織りの生地です。
比較的薄地である11号帆布であっても、ハサミでカットすると「ゴリッゴリッ」となかなかの手応えを感じます。

写真をご覧いただくと、糸自体が縫い締まっていないことがわかります。
どんな糸を使用しても美しく縫うことはできず、家庭用ミシンの限界になります。
織りの固い生地を縫うには厚地用の太いミシン糸を使用し、上糸と下糸をきつく設定して締め上げるように縫う必要があります。
その為キャンバス地や帆布を中心に縫いたい場合には「職業用ミシン」をおすすめいたします。
家庭用ミシンでの縫い目


職業用ミシンを使用
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(※家庭用ミシンの縫い目の隣に青とオレンジの糸で縫ったもの)
厚地用30番のシャッペスパン糸を使用


参考になりましたでしょうか。
今回はミシン糸と布地の関係を説明しました。

厳密なルールはありませんので、あまり気にせず楽しくミシンをお使いいただきたいのですが、なぜか思うような縫い目にならない!とお悩みの場合には、もしかすると糸や布の相性も有りえますので違うミシン糸や生地で縫い上がりの違いを確認するのもよいかと思います。


当店ではお買い上げいただいたミシンについてのご相談は専任ソーイングアドバイザーがお答えしておりますので、是非お気軽にお問い合わせください!


使っているミシンの調子が悪く、お困りになった時やミシンの点検、オーバーホールをお考えの方、迷わず当社修理窓口にお気軽にご相談ください!


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2021 10 11 | この記事へのリンク | この記事へのコメント (0) | トラックバック (0)




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